Encouraging Geeks
腐女子の行く道、萌える道のちずさんが、ヲタクの人に対するエールを送っておられる。
以前も触れたが、日本のオタク文化は世界でも認められ、もはや日本の重要な輸出産業の一つになっている。
イギリスでも、昨年、ケーブルテレビでエヴァンゲリオンが放映されていて、研究室のイギリス人(25歳、私と同じ博士過程の学生)、フランス人(28歳、PhD)とスペイン人(31歳、PhD)という、端からみると超高学歴メンバー(中身は子供)とエヴァンゲリオンについて議論したことがある。
私は、自称ロボットおたくで、大学の学科(金属工学)もガンダムのガンダリューム合金を作ることを目的に決めたくらい、ロボットアニメが好きだった。
エヴァンゲリオンは、リアルタイムで見たことが無かったが、嫁さんが出産で実家に帰っている時に、レンタルビデオで2日かけて見た。その後、ネットでストーリーのベースとなったキリスト教関係の知識を調べたりしていた。
だから、上記の3人に、エヴァンゲリオンに出てくる、キリスト教関連の用語について、説明すると、キリスト教徒でもない私が、そんなに知っていることに驚いて、かつ、エヴァンゲリオンのストーリーの深さに関心していた。
結局ケーブルテレビは、TVシリーズしかやらなかったので、皆、”あれで終りなのか?”と不満たっぷりだったので、ネットで映画版のDVD(英語字幕あり)を買って、日本の親に送ってもらって見せてあげた。もちろん、映画版を見た後の方が”disgusting"(きもちわるい)だよと忠告してから。
後で、やっぱり、本当に”disgusting"だったと皆言っていたが、”AKIRA”に通じるものがあると結構的を得た評価も下していた。
ついでに、日本の友人に録画を頼んでおいたガンダムSEEDのビデオを、日本語のまま貸してあげると、なんと次の週には、ネットで英語のスクリプト(セリフの翻訳)を捜し出して、いろいろ聞いてきて私を驚かせた(さすが伊達にドクターではない)。
(ここから先は、かなりオタクワールド)
一番面白かったのは、フェイズシフト(Phase Shift)装甲について科学的に議論したことである。
'Phase Shift'は直訳すると、'相転移'なので、多分、”ナデシコ”に出てきたディストーションフィールド(Distortion Field)のことだと思って、「真空を利用して、物理的な衝撃を遮断すると思う」と私が言うと、そこはそれ、ケンブリッジにはかの有名なホーキング博士がいらっしゃる(私も、博士が’動いている’のを何回か見たことがある)ので、皆ある程度宇宙物理学の知識があり、Phase Shiftはブラックホールからホワイトホールへ物質/エネルギーが移動する(これが本来のPhase Shiftだそうな)とかなんとか言う、いわゆるワームホール理論(受け売り)を利用しているに違いないという話になった。
話が少し逸れるが、私の研究室はPhase Transformation(相変態)研究グループなので、皆、Phase Shiftという名前には違和感があった。上記のフランス人は、ワームホール理論は現実的でないので、Phase Transformation装甲と呼ぶべきだと主張した。(どうでもいいことなのに真剣...)
しかし、Phase Shift装甲の特徴(ビーム兵器以外の物理的ダメージを無効化する)を説明している時に、実は、もうそれに近い鋼(steel)が実用化されていることに皆気付いた。
例えば、トヨタの車に採用されている衝突安全性ボディーGOAには、TRIP(Transformation induced plasticity)鋼が使われている。TRIP鋼の特徴は、衝撃を受けると受けただけ硬くなるというもので、さらに、ある一定温度以上になるとその特性が失われるから、(ビーム兵器に限定されないが)温度を上げる熱的衝撃には弱い。 また、装甲の表面温度をペルチェ効果(電圧をかけると温度が下がる半導体’ペルチェ素子’の原理)で 保つのに電力を消費するなら、エネルギー制なのも納得と。
(オタク話おわり)
まさか、イギリスのケンブリッジでこんな、オタク話をするとは思わなかったが、SFというのは、これまで、科学の進歩の行き先を示してきたという意味では、科学者がSFをいかに実現するかということに真剣なのは当然の姿なのかもしれない。
と、書いていくうちにすごく、話が横道にそれたが、言いたいことは、私は、すべてのオタクを応援するつもりは無いと言うことで、クリエイターたるオタクは、いろんな意味で社会に貢献しているので頑張って欲しいと思うが、評論家的で自分では何も産み出さないオタクは、やっぱり嫌いだと。
ちずさんのように、知識と文章力(ちょっと偏っているかもしれないけど)で自らを表現できるのは実際スゴイことだと思う。でも、お兄さんの友達は、ちょっと、あんまり友達になりたいタイプじゃない...
最後に、研究室でジャパニメーションの伝導師となった私に、上述のスペイン人は、「日本のアニメって、昔は”アルプスの少女ハイジ”(なんと、スペインやフランスで日本の世界名作劇場が放映されていたりするんです!)みたいに、子供でも見れるものだったけど、いまはHなアニメばっかりだったと思ってた。」と言った。
いつだったか忘れたが、宮崎駿監督が言ったことが本当なんだと痛感して、ちょっと恥ずかしかった。
それが重要な輸出産業で日本の経済に貢献しているとは言いつつも、やっぱり原点回帰して欲しいと思う。
明日からスウェーデンなので、いっぱい書いてしまった。
ここまで読んで下さった皆さんありがとう。
以前も触れたが、日本のオタク文化は世界でも認められ、もはや日本の重要な輸出産業の一つになっている。
イギリスでも、昨年、ケーブルテレビでエヴァンゲリオンが放映されていて、研究室のイギリス人(25歳、私と同じ博士過程の学生)、フランス人(28歳、PhD)とスペイン人(31歳、PhD)という、端からみると超高学歴メンバー(中身は子供)とエヴァンゲリオンについて議論したことがある。
私は、自称ロボットおたくで、大学の学科(金属工学)もガンダムのガンダリューム合金を作ることを目的に決めたくらい、ロボットアニメが好きだった。
エヴァンゲリオンは、リアルタイムで見たことが無かったが、嫁さんが出産で実家に帰っている時に、レンタルビデオで2日かけて見た。その後、ネットでストーリーのベースとなったキリスト教関係の知識を調べたりしていた。
だから、上記の3人に、エヴァンゲリオンに出てくる、キリスト教関連の用語について、説明すると、キリスト教徒でもない私が、そんなに知っていることに驚いて、かつ、エヴァンゲリオンのストーリーの深さに関心していた。
結局ケーブルテレビは、TVシリーズしかやらなかったので、皆、”あれで終りなのか?”と不満たっぷりだったので、ネットで映画版のDVD(英語字幕あり)を買って、日本の親に送ってもらって見せてあげた。もちろん、映画版を見た後の方が”disgusting"(きもちわるい)だよと忠告してから。
後で、やっぱり、本当に”disgusting"だったと皆言っていたが、”AKIRA”に通じるものがあると結構的を得た評価も下していた。
ついでに、日本の友人に録画を頼んでおいたガンダムSEEDのビデオを、日本語のまま貸してあげると、なんと次の週には、ネットで英語のスクリプト(セリフの翻訳)を捜し出して、いろいろ聞いてきて私を驚かせた(さすが伊達にドクターではない)。
(ここから先は、かなりオタクワールド)
一番面白かったのは、フェイズシフト(Phase Shift)装甲について科学的に議論したことである。
'Phase Shift'は直訳すると、'相転移'なので、多分、”ナデシコ”に出てきたディストーションフィールド(Distortion Field)のことだと思って、「真空を利用して、物理的な衝撃を遮断すると思う」と私が言うと、そこはそれ、ケンブリッジにはかの有名なホーキング博士がいらっしゃる(私も、博士が’動いている’のを何回か見たことがある)ので、皆ある程度宇宙物理学の知識があり、Phase Shiftはブラックホールからホワイトホールへ物質/エネルギーが移動する(これが本来のPhase Shiftだそうな)とかなんとか言う、いわゆるワームホール理論(受け売り)を利用しているに違いないという話になった。
話が少し逸れるが、私の研究室はPhase Transformation(相変態)研究グループなので、皆、Phase Shiftという名前には違和感があった。上記のフランス人は、ワームホール理論は現実的でないので、Phase Transformation装甲と呼ぶべきだと主張した。(どうでもいいことなのに真剣...)
しかし、Phase Shift装甲の特徴(ビーム兵器以外の物理的ダメージを無効化する)を説明している時に、実は、もうそれに近い鋼(steel)が実用化されていることに皆気付いた。
例えば、トヨタの車に採用されている衝突安全性ボディーGOAには、TRIP(Transformation induced plasticity)鋼が使われている。TRIP鋼の特徴は、衝撃を受けると受けただけ硬くなるというもので、さらに、ある一定温度以上になるとその特性が失われるから、(ビーム兵器に限定されないが)温度を上げる熱的衝撃には弱い。 また、装甲の表面温度をペルチェ効果(電圧をかけると温度が下がる半導体’ペルチェ素子’の原理)で 保つのに電力を消費するなら、エネルギー制なのも納得と。
(オタク話おわり)
まさか、イギリスのケンブリッジでこんな、オタク話をするとは思わなかったが、SFというのは、これまで、科学の進歩の行き先を示してきたという意味では、科学者がSFをいかに実現するかということに真剣なのは当然の姿なのかもしれない。
と、書いていくうちにすごく、話が横道にそれたが、言いたいことは、私は、すべてのオタクを応援するつもりは無いと言うことで、クリエイターたるオタクは、いろんな意味で社会に貢献しているので頑張って欲しいと思うが、評論家的で自分では何も産み出さないオタクは、やっぱり嫌いだと。
ちずさんのように、知識と文章力(ちょっと偏っているかもしれないけど)で自らを表現できるのは実際スゴイことだと思う。でも、お兄さんの友達は、ちょっと、あんまり友達になりたいタイプじゃない...
最後に、研究室でジャパニメーションの伝導師となった私に、上述のスペイン人は、「日本のアニメって、昔は”アルプスの少女ハイジ”(なんと、スペインやフランスで日本の世界名作劇場が放映されていたりするんです!)みたいに、子供でも見れるものだったけど、いまはHなアニメばっかりだったと思ってた。」と言った。
いつだったか忘れたが、宮崎駿監督が言ったことが本当なんだと痛感して、ちょっと恥ずかしかった。
それが重要な輸出産業で日本の経済に貢献しているとは言いつつも、やっぱり原点回帰して欲しいと思う。
明日からスウェーデンなので、いっぱい書いてしまった。
ここまで読んで下さった皆さんありがとう。
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