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I was lost in translation

もう一度"Lost in Translation"を見た。

前に日記で書いたように、いろいろとイギリス人とこの映画について議論したからだ。

一応知らない人のためストーリーを(公式サイトの引用だけど、かなりネタバレ多くて見ない方が面白いと思うので、映画を見ようと思っている人は飛ばして下さい)

ハリウッド・スターのボブ・ハリス(ビル・マーレイ)は、ウィスキーのコマーシャル撮影のため来日した。滞在先の東京のホテルへと一人向かうリムジンから見える風景には、原色のネオンが所狭しと瞬いている。ホテルに到着し、日本人スタッフから歓待を受けた彼は嬉しさを感じる一方で、慣れない国にいる不安感も覚え始めていた。部屋に入りほっとしたのも束の間、手元に届けられたのは妻からのファクシミリ。息子の誕生日の不在を責める内容に、しだいに気持ちが沈んでいく。時差ボケも重なり、ボブは眠れない夜を過ごしていた。
同じホテルに、フォトグラファーの夫(ジョバンニ・リビシ)の仕事に同行してきた若妻のシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)が滞在していた。仕事に追われる一方の夫となかなか一緒にいることができない彼女は、言い知れぬ孤独と不安にさいなまれていた。仕事に疲れぐっすりと眠る夫の隣りで、シャーロットもまた眠れない夜を過しているのだった。

翌朝、エレベーターに乗りあわせたシャーロットと視線を交わしたボブは、彼女のさりげない笑顔に心が救われる想いを感じる。その後、彼はコマーシャルの撮影スタジオへと出向いた。CMのディレクターは身振り手振りでシーンの説明を指示するが、通訳からは「振り向いて、カメラを見て下さい」など、ごく短い訳しか伝えられない。コミュニケーションのとれない人々に囲まれて、ますますナーバスになっていくボブ。同じ頃、渋谷の街中に佇むシャーロットも疎外感に包まれていた。腕を組みながら大声で話す若いカップルたち、読経の流れる寺院・・・。人々の喧騒の中でも、静寂の世界にいても淋しさはつのるばかりだ。ホテルへ戻った彼女はアメリカの友人に電話をするが、まったく違う時間の流れを痛切に感じてしまう。知らず知らずにこぼれる涙をぬぐいながら、そっと受話器を置くシャーロット。

不安定な気持ちを落ち着かせるためバー・ラウンジへと向かったボブは、エレベーターで出会ったシャーロットの姿を見つける。そして、ボブの視線に気づいた彼女から、1杯のカクテルが贈られてきた。互いの存在を意識し始めた2人は、翌日、バーのカウンターに並んで座り始めて言葉を交わすのだった。
「なぜ東京に?」
「いくつかの理由で。妻から逃れるために。息子の誕生日を忘れてしまったし。200万ドルのギャラでウィスキーのCMに出演するため。CMより芝居に出るべきだが・・・。君はなぜここに?」
「カメラマンの夫の撮影が東京であって。ヒマだからついてきたの。結婚して2年目」
「僕は25年」
「眠れないの」
「僕もだ」
同じ心の揺れを感じ取った2人は、急速にうち溶けていく。シャーロットの友人のパーティに誘われ、夜の街へと出かけたボブは、カタコトの英語を話す若者たちとの会話を楽しみ、カラオケでマイクを握るシャーロットに魅入る。東京に来て初めて感じる開放的な気分に、笑顔を見せる2人。遊び疲れて帰るタクシーの中で眠ってしまったシャーロットを抱きかかえてベッドに寝かせたボブは、そっとドアを閉めて自分の部屋へと帰るのだった。

コマーシャルの撮影が終了したボブは、急遽舞い込んだテレビ出演の話を承諾し、滞在を延ばすことになった。相変わらず眠れない夜を過ごしてはいるが、今はシャーロットがいる。その安心感をシャーロットも感じていた。日中はスシ屋やシャブシャブ屋でランチを共にし、夜はホテルの部屋で枡酒を飲みながら古い映画を見て時を過ごす。交す言葉の数は決して多くはないが、今まで誰にも話せなかった心の奥底の不安や悩みを告白し合ううち、胸にしまい込んだわだかまりが溶けていくように感じられるのだった。孤独感を共有した2人には、いまや誰よりもわかりあえる絆が存在していた。

だが、帰国の時は刻一刻と迫っていた。ボブが帰国する前夜、出会いのバー・ラウンジには見つめあう2人の姿があった。
「帰りたくない」
「それじゃ、いっしょに残って」
そういって手を握り合うが、それでもいつものように“おやすみ”の軽いキスをして、それぞれの部屋へと戻る2人。

そして、翌朝。別れの時は、目前まで近づいていた・・・。


2回目は、なるべく外国人になったつもりで見ようと思ったが、1回見てるし、日本語はどうしたって分かってしまうので、やっぱり無理だった。
映画の中では、日本語に対する英語字幕は一切無いので、日本語が分からないと面白くないところがところどころある。映画館で日本人は私だけで、笑うタイミングが違うのが面白い。

今回、かなり分析的に映画を見ていたので、前回、何が私をイライラさせていたのか分かった。

まず、藤井隆さん。私は関西人だから、彼の体当たりの芸風は好きだけど、彼が一般的な日本人ではないと堅く信じている。
ただし、後で嫁さんに教えてもらったのだが、劇中に登場する"Matthew 南"は、Matthew’s Best Hit TVという本当に存在する番組の登場人物で、別に映画用にキャラを作っている訳ではなかった。私は、わざと監督が映画を盛り上げる(日本を誇張する)ためにこれを作ったと思っていたが、違っていた(ごめん、ソフィア監督)。でも、'シャーロット'の友達の日本人(名前は忘れた)、完全に目がイッちゃってるのはどうも気になる。

次に、劇中に登場する日本人が、異常に不親切であること。ヒロインの'シャーロット'が医者に行くシーンで、医者が日本語でずっと怪我の具合を説明するのだが、普通医者だったら英語がある程度話せるはずだ。
英語で話し掛けられて、逃げる日本人が多いのは事実としても、困っている外国人を助けないほど日本は非情な国なのか?
イギリスは、サービスは最悪だけど(実例を知りたい人はサイドバーの”しばいたろかエゲレス” リングをチェック)、本当に困っている時は、親身になって助けてくれる。

最後に、ぶつ切りの日本文化、京都やお寺のシーンの必然性が感じられない。フォトジェニックな'シャーロット'を立たせると絵になるのは認めるけど、なんだか、その部分だけ日本の紹介ビデオのように見える。一つだけ、(イギリスの若い女性に比べて)足の太いミニスカ女子高生は確かに日本的だと思う(イギリス人と同時に笑ってしまった)。

と、けなしてばかりだけど、2回目で'シャーロット'役のスカーレット・ジョハンソン(ヨハンソン)に惚れた。なんとなく小動物系なところが良い。本当に殺人的な可愛さである。

scarlet johanson

この映画、日本が舞台でなければ、絶対もっと面白く見れたと思う。

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Comments

私もこの映画、観ました。(注意:以下映画内容あり)

同時にアメリカで巻き起こっているらしい、この映画へのアジア系の人たちのバッシングもあちこちで読みました。バッシングに関しては理解できる内容もあるし、色々疑問に思うところ(病院のこととか、中途半端な通訳とか、接待がほとんどなしで、ほおって置かれるBill Murrayとか...多々)もありながらも、私はこの映画を、

・ハリウッド映画であって、ドキュメンタリーではない。

・映画の主題は主人公2人の心理状態で、日本の姿ではない。

外国に行っても、その国に興味がなければ、本当のその国の姿がわかるはずもなく、明らかに二人は自分の意思で日本に行ったわけではないので、周りから孤立した感のある二人の、ともすると先入観のあるかもしれない目線で見た「異文化」なら、もしかすると、逆にウマく描けているのでは?それがたまたま日本を扱うことで強調されているだけ。

と「解釈」することにしています。ちなみにカラオケを歌ってた日本人は、ソフィアの日本の友人だと、どこかで読みましたよ。彼女は洋服のブランドを日本で展開していたので、彼女自身は日本に何度も来たことあるのでは?と思います。

まだ日本で公開されていないんですよね。日本の人たちの反応も気になるところです。

またお邪魔します。

(先ほどは変なコメント書いたかもと反省しつつ、心配になって再度来て見ました。深く反省しておりますので、お許しください。)

Posted by: chichi | 15.03.2004 04:48 AM

> chichi様

見に来てくださってありがとうございます。

私の場合は、1回目にあの、”下手くそ女優が撮った映画だから”という先入観があり、かなり批判的に、また、あげ足を取るような見方をしていたと思います。なので、全然映画を楽しめませんでした。

それに、ご指摘のバッシング記事も事前に読んでいたので尚更でした。私が危惧していたのは、外国の人がこの映画を見て日本に対するネガティブなイメージを持つことでした。

しかし、前の日記に書いたように、逆に”日本に行きたくなった”という感想を聞いて、考えすぎだったのかなと思いました。
少なくとも、イギリスでは皆ハリウッド映画は、事実ではないことを良く分かってるので、そのような心配は取り越し苦労だったようです。

chichiさんのおっしゃるように、ドキュメンタリーじゃないと考えれば、かなり面白い映画だと思います。

ソフィア監督は日本を気に入ったからこの映画を撮り始めたそうですが、私が思うに、製作で一枚噛んでるお父さんか誰かから、”日本贔屓な映画を作っても誰も見てくれない”という助言があったのだと思います。(事実それが、功を奏してアメリカでヒットしたんだと思います。)

少なくとも、”ラスト・サムライ”や”キル・ビル”で与えたような間違った日本像(歴史)よりは、何倍もましだと思います。

コメントはこれ一つのようですから、以前のは保存されてなかったと思います。お気になさらずに。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

Posted by: poohotosama | 15.03.2004 05:36 AM

I don't even know how I stopped up right here, however I believed this publish was great. I do not recognize who you might be but certainly you're going to a well-known blogger if you happen to are not already. Cheers!

Posted by: asphalt 8 airborne hack | 20.02.2014 06:52 PM

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